神「安易な比較とか見立ては危険だって自戒しながら言うんだけどさ」

西「なんですか」

神「今の状況って、東日本大震災の時と似てる部分あるよな」

西「記憶に新しい大災厄ですからね。連想してしまうのは分かります」

神「特に、口当たりのいい精神論の横行っていうかさ。素朴な善意を否定するつもりはないんだけど、災厄が刻一刻と進行中の状況で、"絆・敬意・感謝"とかふんわりしたことを言われてもさ。なんか、ボンヤリしちゃうよね」

西「確かにね。そもそも"絆・敬意・感謝"っていうワードのチョイスも間違ってますよね」

神「ふーん。お前ならどんな言葉を選ぶの」

西「"鎖・服従・調教"ですかね」

神「SM奴隷としての心がけは聞いてねえよ!」

神「テレビをつけても、新聞を開いても、雑誌を読んでも、ネットを見ても、とにかく話題ウイルス一色だな」

西「例のカタカナ三文字を目にしない日はありませんよね」

神「どこに行っても目に入ってくるよ」

西「本当に、ついついチョココロネ食べたくなっちゃいますよね」

神「呑気かよ!」

西「連休が明けました」

神「緊急事態宣言は継続してるけど、出社してる人も多いようだな」

西「仕方ないですよ。生きていくためには仕事をしないといけませんからね」

神「すべての職業がリモートワークで対応できるわけじゃないしな」

西「ええ。汁男優とかね」

神「確かにそうだけど、一発目に例えに出す職業ではないだろ!」

西「リモートでぶっかけても、自宅のディスプレイが汚れるだけですしね」

神「きたねえな!」

神「9月入学の導入が検討されているな」

西「こういう状況にならなければ、俎上にのせられることもなかったでしょうからね。まあ、議論すればいいんじゃないですか」

神「しかし、遅きに失したね。今さらって感じ」

西「ほう。推進派ですか」

神「というか、先駆けて実践してるから。大学卒業したの9月」

西「それは卒論出せなくて留年しただけだろ!」

神「9月入学が導入されたら、それも正当化されるよね」

西「されねえよ!」

神「新しい生活様式だとよ」

西「具体例も示されました」

神「例えば、感染を避ける為に食事は横並びで、とかな」

西「"家族ゲーム"だ」

神「これはもう連想してしまうよな」

西「てことは、これから豆乳を飲む時は、お風呂の中で紙パックをチューチュー吸わないと」

神「伊丹十三な!そこまでやる必要はねえよ!」

西「あと噛みタバコを噛んで唾液をビュッと吐かないと」

神「"刑法第三十九条"の岸部一徳な!映画変わってるよ!」

西「遺作の"僕達急行"も奇天烈で温かい良い映画でしたね」

神「森田芳光の話になってるよ!」

神「延長が決まったな」

西「結局、お金の問題になってくると思うんですよ」

神「確かに。自粛休業中のお店や企業にとっては、延長は大打撃だと思うよ」

西「お金を持ってる人が出すしかないんです」

神「しっかりとした補償を打ち出すべきだよな」

西「ただですね、中には自動延長の店もありますから、気をつけてください」

神「ん?」

西「指名料も延長のたびに取られますから」

神「キャバクラの延長の話じゃねえよ!」

西「いやー、しかし大切なのは、嬢への敬意と感謝と絆ですよね」

神「どうでもいい精神論やめろよ!」

神「自粛警察っていうのが広がりつつあるな」

西「市民による監視ですよね」

神「まあ、彼らなりの正義感の発露ではあるんだろうけどな。ただ、法的根拠じゃなくって、あくまで個人の主観に立脚してる分、暴走するとちょっと怖い、って感じもあるよな」

西「僕もこないだ自粛警察に出くわしましたよ」

神「そうなんだ。何したの」

西「ギンギンのペニスをしごきながら駅前を歩いてただけなんですけどね」

神「それはノーマルな法で裁かれるやつだろ!」

西「まったく、恐ろしい世の中ですよね!」

神「おまえだよ!」